ハワイのローカルフード「サイミン」を解説!現地ならではの食べ方も
美味しいものがいろいろ揃っているハワイ。地元の人たちが好んで食べている、ハワイならではの味もたくさんあって、そんな人気メニューのひとつが伝統的な麵料理の「サイミン」です。この記事ではサイミンがどのような料理なのかと、現地でのおすすめ店、日本でサイミンを楽しむ方法などについて詳しくご紹介します。
ローカルに愛されるソウルフード「サイミン」
サイミンは中華麺をだしが効いた温かいスープに入れて食べる、ハワイ独自の料理です。
見た目はラーメンとよく似ていますが、麺やスープの味わいと食感は日本のラーメンと違って「沖縄そば」寄りといえるかもしれません。
各地にある専門店「サイミン・スタンド」のほか、ファミリーレストランなどでもよく食べられているローカルフードで、価格がリーズナブルなため気軽な軽食メニューとして愛されている庶民の味です。
サイミンの歴史
サイミンは、20世紀初めに日本を含む世界各地からハワイに移り住み、サトウキビなどの農場で働いていた外国出身労働者の食卓で誕生したといわれています。
一日の仕事が終わり夕食どきになると、彼らは節約のために各自持ち寄った材料をひとつの鍋で調理し、分け合ったそうです。
そんな中、中国系移民が持ち込んだ麺と干しエビだしのスープで作られたのがサイミン。元は家庭料理でしたが、やがて外食メニューとして普及していきました。
名前の由来
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サイミンという料理名の由来には中国語説、日本語説、沖縄語説、ハワイ語説など諸説ありますが、有力なのが中国・広東語で細い麺を意味する「細麵(スィー・ミェン)」から来ているとするもの。
現地のスーパーマーケットなどで売られているサイミン用生麺のパッケージにもこの漢字が印刷されていますが、その表記は地元の人たちの間ではそれほど知られておらず、"saimin”という英語表記の方がはるかに一般的です。
サイミンはどんな味?
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干しエビのあっさりスープ
干しエビを主な材料に、干ししいたけ、生ショウガ、だし昆布を水に入れて煮立たせ、塩あるいは醤油で味を整えたものが基本的なサイミンのスープです。
店によっては上記の材料にプラスして牛肉や鶏肉などの他の食材をスープ作りに使う場合もあります。ほんのり黄色がかった澄んだ見た目とスッキリした味わいが特徴です。
かんすいを使用した中華麺
サイミンの麺は小麦粉に卵を混ぜ、かんすいを加えて作られる、弾力や歯ごたえある中太〜太の中華麺が一般的です。縮れ麺が多いですが、平打ち麺も見られます。
自家製麺のほか市販品が使われており、有名な市販品メーカーのひとつに、日本の栃木県出身者が1981年にハワイで設立した「サンヌードル」があります。
具材とトッピング
麺とスープの上には、小口切りの青ネギ、八角が香る中国式チャーシュー、スパム、ナルトに錦糸卵が乗せられているのが定番です。錦糸卵の代わりに卵焼き、ワンタンやホウレンソウ、海苔などがトッピングされることもあり、別添えで提供されるからしと醤油は、お客さんが自分ごのみの味わいにアレンジするのに使います。
サイミンの食べ方
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地元で定番のサイミンの食べ方は、別添えのからしと醤油を小皿の上で混ぜ合わせて「からし醤油」を作り、箸で掴んだ麺や具材をそれに付けたり、スープに溶いて楽しむというものです。
またハワイだと、サイミンは朝食や軽食に食べられることが多いのですが、ランチやディナーとして食べても全く問題ありません。
トッピング・アレンジ
店によってはサイミン用にさまざまなトッピングが用意され、自由にアレンジを楽しめます。ワンタンやカニカマ、ローストビーフ、チキン、野菜、ゆで卵、キムチやモチなど、多い店だと60種類以上のトッピングがあることも。また、からし醤油以外に塩コショウやタバスコなどで味を変化させてみるのも面白いですよ。ヤキソバにした「フライド・サイミン」や冷やし中華に似た「コールド・サイミン」というアレンジ料理もあります。
サイドメニューを合わせるのがハワイ流!
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多くの人がサイミンと一緒に注文するメニューが、薄切りまたは一口大にカットしたビーフやチキンを甘辛のバーベキューソースでグリルした「肉串」です。
サイミンと交互に食べたり、サイミンのスープに浸して味わいます。
そのほかハンバーガーも代表的なサイドメニューで、こちらも同時に食べたり、スープに浸すスタイルがよく見られます。
「汁麺にハンバーガー!?」と驚くかもしれませんが、意外なほど相性は抜群です。
これらの定番以外にも、マカロニサラダやフライドポテト、えびの天ぷら、スパムのおむすびなど、店にもよりますが、組み合わせ可能なサイドメニューは無数にあって、多いところだと40以上の中からチョイスが可能です。
汁なしの「ドライミン」も
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マウイ島発祥と言われるスープに入っていないサイミン「ドライミン」も人気で、マウイ島にある「Sam Sato’s(サム・サトウズ)」のものが特に有名です。
中国式チャーシュー、青ネギ、もやしがのった醤油テイストの麺と一緒に、温かい中華スープが出されますが、それぞれ別でも、スープに麺をつけても、麺にかけてもよし。
汁入りサイミン同様、地元ではからし醤油を使ったり、肉串をサイドメニューにして味わいます。
ハワイで人気のサイミン店
地元の人の日常食であるサイミンは、ハワイのあちこちで味わえ、以前はハワイのマクドナルドでも提供されたり、日本食店や有名シェフプロデュースのレストランなどでも出されるほどです。
ここまで読んで実際にサイミンが食べたくなったという方のために、旅行客でも訪れやすい現地の人気店を3つご紹介しましょう。
ジッピーズ
ハワイでは知らない人がいないほど有名なファミリーレストラン「ジッピーズ」。
サイミン($6.25〜)は、1966年の創業当時から愛され続けている定番メニューです。スープは濃いめの茶色ですが、あっさりした醤油テイスト。
トッピングは中国風チャーシューとナルト、卵焼き、ほうれん草です。
通常のトッピングにワンタン、エビフライ、焼き海苔もプラスし、金属の鍋で提供される「ジップ・ミン($14.70)」も名物です。
店舗名 |
Zippy’s(カパフル店) |
住所 |
601 Kapahulu Ave. Honolulu, HI 96815 |
電話 |
808-733-3725 |
営業時間 |
6:00〜22:00(金・土曜は~12:00) |
定休日 |
無休 |
アクセス |
カパフル通り沿い |
タナカサイミン
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1956年創業の「ブルーバード・サイミン」の経営者の孫が2010年にオープンしたばかりのレストラン。
豊富なサイミンメニューの中で一番人気は「タナカ・サイミン($15.95)」。
エビと昆布だしのピンクがかったスープにコシのある麺を入れ、ワンタン、ナルト、中国風チャーシュー、ホウレンソウ、海苔をトッピング。
グリーンサラダ(またはマカロニポテトサラダ)、エビの天ぷら、照り焼きビーフとのセットでボリューム満点です。
店舗名 |
TANAKA Saimin |
住所 |
888 N.Nimitz Hwy, Unit #103 Honolulu, HI 96817 |
電話 |
808-524-2020 |
営業時間 |
7:00〜21:00(金・土曜は~22:00) |
定休日 |
無休 |
アクセス |
ノース・ニミッツ・ハイウェイ沿い |
シゲズ・サイミン・スタンド
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ノースショアに近いワヒアワの町にある、こじんまりとした専門店。オーナーの祖父母が30年間運営していたサイミン・スタンドの流れを受け継ぎ、サイミン($7.75〜)が1日に300杯売れるという人気店です。
モチモチ食感の平打ち麺とともに自家製にこだわるスープはビーフ、エビ、昆布などを使ったオリジナルで、具はナルトにスパム、中国風チャーシュー、錦糸卵。
多くの人がセットで頼むチーズバーガー($4.65)も美味しいと評判です。
店舗名 |
Shige's Saimin Stand |
住所 |
70 Kukui St, Wahiawa, HI 96786 |
電話 |
808-621-3621 |
営業時間 |
7:00〜20:00 |
定休日 |
日・月曜 |
アクセス |
ククイ通り沿い |
日本でサイミンを食べるには?
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通販でお取り寄せ
お取り寄せ可能なサイミンは希少ですが、ハワイの有名麺メーカー「サンヌードル」による現地直送のセットなら、本場の味を家庭で手軽に楽しめます。ホノルルの人気店の味から考案された「リリハ・サイミン」とハワイの名物料理・ガーリックシュリンプ風のソースが付いた「ハレイワ・ドライサイミン」の2種類が各3食入り$ 45です。
◆通販サイト:https://mygifthawaii.com/lp/saimin/
ハワイアンレストランのメニューにあることも
サイミンを提供する日本国内のハワイアンレストランやカフェもあるようですが、こちらはさらにレア。
実物を忠実に再現したもののほか、日本人好みに大胆にアレンジしたラーメン風やサラダ仕立てのものなどがあるようです。
本場の味を気軽に楽しみたい方であれば、通販を利用するか、ハワイ旅行の際に食べる方がよいかもしれませんね。
サイミンでローカル気分を満喫しよう
世界各国にルーツを持つ人々が集まって暮らしているハワイは、その食文化も多国籍です。そんなハワイならではの家庭料理のひとつとして生まれ、いまや民族の境界を超えて広く親しまれるようになったサイミン。
歴史やカルチャーが香るハワイらしい味わいを、機会があったらぜひお試しください。