歴史と文化に触れる「ホノルル美術館」を解説。おすすめの美術館・博物館も必見

歴史と文化に触れる「ホノルル美術館」を解説。おすすめの美術館・博物館も必見

公開日:2023.12.23
更新日:2024.09.12

世界中のアートが集う「ホノルル美術館」は、ハワイ旅行でぜひとも訪れていただきたい観光スポットの一つです。ハワイ最大の美術館で、有名画家の美術品だけでなくハワイの歴史ある工芸や日本の浮世絵など幅広く展示されています。この記事では、そんな魅力たっぷりのホノルル美術館の見どころや入場料などの情報のほか、周辺の美術館・博物館もご紹介しますので、ハワイを訪れる際にぜひ参考にしてください。

ホノルル美術館(HoMA)とは

ホノルル美術館の中庭

photo by 公式サイト

ホノルル美術館、通称HoMAはダウンタウンの東にあるベレタニア通りにあり、国や州から歴史的重要建造物に指定されています。

ハワイ最大の総合美術館であり、世界中から収集した5万点以上ものコレクションを収蔵しています。これはシカゴ美術館、ボストン美術館に次ぐ全米第3位の収蔵数です。ゴッホやゴーギャン、モネ、ピカソといった有名画家の美術品だけでなく、日本の浮世絵も多く展示されており、中でも歌川広重の作品においては収蔵数世界一。伝統的なハワイアンアートのほか、アジア・アフリカと幅広いアートが集い、ハワイの多様性を建物全体で感じられる唯一無二の美術館です。ギャラリー内だけでなく、様々な国の景色を表現した庭園も見どころとなっています。

ホノルル美術館の歴史

ホノルル美術館は1927年、アナ・ライス・クックによって設立されました。幼い頃より芸術に親しんでいた彼女は、チャールズ・モンターギュ・クックと結婚後、夫婦で美術品を収集するようになります。多くの民族が共存しているハワイのユニークさやその文化を、子どもたちに芸術品を通して伝えていくため、家の敷地を寄贈したものが現在の美術館の原型です。ギャラリーをつなぐ中庭でさえも島の美しい自然や多文化を感じられるアートの一つとなるよう設計されています。

ホノルル美術館をまわるための所要時間

時計とカレンダーが並んでいる様子

photo by Adobe Stock

館内をひと通り鑑賞するには、少なくとも1時間ほどかかるでしょう。

各国のアートで分けられた約30室の常設ギャラリーや期間限定の企画が行われる特別展示室、それらに加えて5つの庭園と見応えが満載なので、一日中楽しめる空間です。ご旅行の際は、ゆとりを持って予定に組み込むことをおすすめします。

ホノルル美術館の魅力

世界的な有名作品が展示されている

大きなアート作品

photo by 公式サイト

収蔵されている5万点以上の美術品の中には、ゴッホやゴーギャン、モネ、ピカソといったヨーロッパの巨匠たちの美術品のほか、アメリカを含めた西洋美術コレクションが1万5,000点以上あります。これは絵画や彫刻に限らず、貴重な調度品と共に展示されているため館内すべてが見どころと言っても過言ではありません。また、アジア美術コレクションは2万点以上あり、日本美術では歌川広重や狩野元秀による絵画を筆頭に漆器や茶道具も展示されています。

ハワイを中心とした南国文化に触れられる

ハワイらしさ満点のアート作品

photo by @honolulumuseum / Instagram

ホノルル美術館では、もちろんハワイの美術コレクションも鑑賞できます。ハワイアンキルトや鳥の羽で作られたケープ、ヘイアウ(寺院)模型など、ハワイによって育まれた芸術品が多数展示されているのが特徴です。絵画や紙を使った作品がメインとなっており、キャプテン・クックがハワイに遭遇した1778年から現代に至るまで、ハワイの風景やそこに暮らす人々の様子を通して時代の変遷が感じられるでしょう。

別世界のような美しい建物に圧倒

建物の周りが花で覆い尽くされている様子

photo by @honolulumuseum / Instagram

収蔵されている5万点以上もの美術品だけでも十分に堪能できますが、建物や空間にも着目してみてください。

ニューヨークの建築家バートラム・グッドヒューが手掛けた伝統的なハワイ様式の美術館は、様々な建築物に影響を与えました。オフホワイトの外壁と瓦屋根というシンプルな外観ですが、建物の背景となる美しい山並みや自然との見事な融合によって、より美しい空間となっています。まるで別世界にいるような素敵な気持ちになるでしょう。

期間限定で展示が変わる特設コーナー

女性が作品を作成している様子

photo by @honolulumuseum / Instagram

世界各国のアートが楽しめる常設ギャラリーの他にも、期間限定で企画展示を行っています。過去には以下のように有名アーティストだけでなく、日本美術から若手アーティストまで幅広いテーマの展示が行われていました。

  • 近代日本美術

  • サルマン・トゥール「No Oedinary Love」

  • レベッカ・ルイーズ・ロー「Awaking」

今後の展示会スケジュールは以下のとおりです。気になる展示があれば予定を合わせて旅程を決めましょう。

  • 「源氏物語」:2023年12月21日〜2024年4月7日

  • フランシスコ・ゴヤ、エンリケ・チャゴヤ「Disasters of War Then and Now」:2023年12月14日〜2024年4月14日

  • カプラニ・ランドグラフ「'Au'a」:2024年1月17日〜9月15日

  • ジーン・スティール、ロバート・スティール「Forward Together: African American」:2024年1月18日〜9月14日

こだわりを見せる5つの庭園

ホノルル美術館の見どころは、ギャラリーに展示されている美術品だけにとどまりません。敷地内には様々な文化が入り交じるハワイを形成する国をテーマに、コンセプトの異なる庭園を5つ有しています。それぞれで全く雰囲気が変わりますので、鑑賞の合間にゆっくりと休憩しながら世界旅行の気分を味わってくださいね。

パームコートヤード

緑が生い茂るパームコートヤード

photo by @honolulumuseum / Instagram

パームとはヤシの木のことを指します。名前の印象から南国をモチーフにした庭園なのかと思いきや、インド彫刻が展示されていてオリエンタルな雰囲気になっており、東南アジアのギャラリーに隣接しています。

庭にはコーヒーバーがあり、庭を見ながらドリンクやデザートを楽しめるため、休憩スポットとしてもおすすめです。

チャイニーズコートヤード

中国の雰囲気が漂うチャイニーズコートヤード

photo by 公式サイト

その名の通り、中国式の庭園です。池や草花、芝によってすべての自然である海や山、大地を表現しています。池には鯉も泳いでおり日本らしさも感じられるため、親しみやすい空間だと言えるでしょう。チャイニーズコートヤードの周りには日本や中国・韓国などアジアを中心としたコレクションが展示されています。

キナウコートヤード

独特な作品が展示されているキナウコートヤード

photo by @honolulumuseum / Instagram

キナウとは、ハワイ諸島を初めて統一した初代国王であるカメハメハ1世の娘の名前です。ハワイの民族的な彫刻が展示されていて、回廊の窓もハワイならではの絵柄でくり抜かれているため、どこにいてもハワイの空気を感じることができるでしょう。周辺には王朝の伝統的な美術工芸品、島の風景やそこに暮らす人々を表したアートが展示されています。

セントラルコートヤード

女性の像があるセントラルコートヤード

photo by @honolulumuseum / Instagram

ホノルル美術館の玄関に入って正面でまず出迎えてくれるのがこの庭園です。広々とした芝生の中央には彫刻が展示されており、美術館の顔としての役割を担っています。庭園を正面にして左側がアジア美術、右側が西洋美術とギャラリーが分かれているので迷うことなく鑑賞できるでしょう。催し物があるときに使用される広場でもあります。

メディテラニアンコートヤード(地中海コートヤード)

地中海がモチーフとなっているメディテラニアンコートヤード

photo by @honolulumuseum / Instagram

中世の地中海をモチーフにしたこの庭は、壁面のタイルアートが写真映えするため人気スポットになっています。白い壁と淡い水色のドア、それらを彩る花木のコントラストは思わず時を忘れてうっとりとしてしまう美しさです。

近くのギャラリーには西洋画家の作品が多く展示されているため、美術品とあわせてルネッサンスの雰囲気を堪能できます。

ホノルル美術館の入場料・アクセス

2人の女性がアート作品を見ている様子

photo by 公式サイト

入場料

FEEと書かれているブロックが並んでいる様子

photo by Adobe Stock

一般入場料は20ドルですが、18歳以下の方であれば無料で入場できます。毎月第1水曜日・第3日曜日は無料で入場できるため、お得に鑑賞したい場合は無料開放日も考慮してスケジュールを立てましょう。

宿泊するホテルによっては、リゾートフィーにホノルル美術館の入場料が含まれている場合もあります。ルームキーを提示すれば無料で入場できる仕組みです。ホノルル美術館を中心としたハワイ旅行を楽しみたいなら、対象となるホテルを選んでください。

アクセス

施設名

The Honolulu Museum of Art

住所

900 South Beretania Street Honolulu,Hawaii 96814

電話番号

808.532.8700

営業時間

水・木・日曜日:10時〜18時

金・土曜日:10時〜21時

定休日

月・火曜日

元旦(1/1)、独立記念日(7/4)、感謝祭(11月第4木曜日)、クリスマス(12/25)

 

レンタカー利用の場合は、「ホノルル・ミュージアム・オブ・アートスクール」の駐車場が利用できます。(駐車料金5ドル/最大5時間まで)

また、ワイキキ中心部から各種アクセスが可能です。

  • タクシー:10分

  • トロリー・公共バス:20〜30分

「HoMAカフェ」も一緒に立ち寄りたい

HoMAカフェの外観

photo by 公式サイト

ホノルル美術館内にはカフェが併設。正面玄関を入ってセントラルコートヤードの右側通路を進むと左側にミュージアムショップ、右側にHoMAカフェがあります。

オープンカフェになっており、屋外の席では自然をダイレクトに感じながらリラックスして過ごせることができ、屋内の席は白壁のおしゃれな空間です。席から望む美しい庭園にはジュン・カネコやイサム・ノグチの彫刻があり、美術品を楽しみながら美味しいランチを食べることができます。美術館周辺にもレストランやカフェはありますが、このようにアーティスティックな雰囲気の中で食事できる経験はそう得られるものではありません。

また、地産地消にこだわったメニューが自慢で、味覚でもハワイを堪能できるでしょう。地元の方も通う人気のヘルシーカフェです。

おすすめメニュー

野菜を中心とした料理が並んでいる様子

photo by 公式サイト

HoMAカフェではハワイの食材を使った様々な料理が楽しめます。価格の目安としては、サラダやサンドイッチは20〜28ドル、デザートは7〜9ドル程度です。メインディッシュにドリンクとデザートが付いたお得なセットメニューもあります。

サラダやサンドイッチは軽食にしては少々高いと感じるかもしれませんが、ボリュームもありきっと満足できるでしょう。グルテンフリーやベジタリアン・ヴィーガン料理にも対応しています。

店舗情報

店舗名

HoMA Cafe (Honolulu Museum of Art Cafe)

電話番号

808.532.8734

営業時間

ランチ:11〜14時

サンデーブランチ:11〜14時(日曜日のみ)

ディナー:17時〜20時30分(金・土曜日のみ)

定休日

※ホノルル美術館と同じ

月・火曜日

元旦(1/1)、独立記念日(7/4)、感謝祭(11月第4木曜日)、クリスマス(12/25)

価格帯

2,000〜4,000円

 

ホノルル美術館は予約が必要?

カレンダーにメモをしている様子

photo by Adobe Stock

ホノルル美術館は予約不要で入場することができますが、公式ホームページから予約することも可能です。事前に精算しておきたい方や、空き状況をチェックしておきたい方は活用してみてください。

先ほどご紹介したHoMAカフェを利用したい場合は、人気な上ランチは3時間しか営業していないため、予約をおすすめします。緑が美しくリラックスできるオープンな空間で彫刻を眺めながらゆっくりとランチをすれば、きっと素敵な思い出になるでしょう。

そのほかおすすめの美術館・博物館

ハワイには、ホノルル美術館のほかにも多くの美術館や博物館があります。おすすめスポットを5箇所ご紹介しますので、旅行プランを立てるうえでの参考にしてください。この場所でしか観られない・体験できないことがありますので、アクセス情報と照らし合わせてチェックしておきましょう。

シャングリラ

シャングリアの中を男女が歩いている様子

photo by 公式サイト

イスラム美術文化博物館として、イスラム文化の遺物を展示しています。イスラム芸術のためのドリス・デューク慈善財団の設立者であるドリス・デュークの旧邸宅が博物館になっており、ハワイで最も大きな一軒家です。その大豪邸にはイランやモロッコの貴重な美術品や調度品が多数展示されており、大きなプールを有した自然あふれる庭にはただただ圧倒されます。

この博物館は、ホノルル美術館が主催するガイド付きのツアー(90分)でのみ見学できます。完全予約制のため、事前に美術館で予約が必要です。

 

施設名

Shangri La Museum of Islamic Art,Culture&Design

住所

4055 Pāpū Cir,Honolulu, Hawaii 96816

電話番号

808-734-1941

営業時間

9時〜13時30分

定休日

日・月・火曜日

 

ビショップ博物館

ビショップ博物館の内観

州立自然文化歴史博物館に指定されている、ハワイ最大級の歴史と科学が詰まった博物館です。ホノルル市内から車で10分程度の場所にあるため、アクセスには困りません。

ハワイの歴史や文化を存分に楽しめるだけでなく、古代ポリネシア人の航海術や火山の噴火を体験することも可能です。図書館も併設されており、ハワイや太平洋に関する書籍や新聞、雑誌のほか、貴重な王族の個人文書も所蔵されています。

 

施設名

Bishop Museum 

住所

1525 Bernice Street, Honolulu, Hawaii 96817

電話番号

808-847-3511

営業時間

9〜17時

定休日

感謝祭(11月第4木曜日)、クリスマス(12/25)

 

ハワイ州立美術館

ハワイ州立美術館の外観

photo by 公式サイト

2023年秋に「キャピトル・モダン」と改名され、その名の通り現代アートを中心とした展示が特徴です。こちらもホノルル市内から車で10分程度のアクセス。入場料が無料なので、スケジュールに余裕がある際には訪れてみてはいかがでしょうか。

国家歴史登録財に指定されている建物で、20世紀以降のハワイアンアーティストによる絵画や彫刻、陶芸がそろっています。中庭にはプールを模した巨大なガラスのアートは必見です。

 

施設名

Capitol Modern(旧:)

住所

250 South Hotel St Honolulu, Hawaii 96813

電話番号

808-586-0305

営業時間

10時〜16時

定休日

日曜日、祝日

 

パールハーバー太平洋航空博物館

海上にあるパールハーバーの外観

photo by Adobe Stock

第二次世界大戦中の、日本軍による真珠湾攻撃についての遺物が展示されている博物館です。ホノルル市内から車で約20分かかります。

館内にはジオラマを用いて当時の状況を再現されており、戦争を通して自由や平和について考えさせられる展示が特徴。博物館とあわせて、歴史あるフォード島の航空管制塔に登れるツアー(トップ・オブ・ザ・タワーツアー)に参加するのもおすすめです。約51メートルの高さからパールハーバーを360°望める貴重な体験ができるでしょう。

 

施設名

Pearl Harbor Aviation Museum

住所

319 Lexington Boulevard Honolulu, Hawaii 96818

電話番号

808-441-1000

営業時間

9時〜17時

定休日

月・火曜日

元旦(1/1)、感謝祭(11月第4木曜日)、クリスマス(12/25)

 

ジョンヤング美術館

ハワイ大学の中にあるジョンヤング美術館の内観

photo by 公式サイト

ハワイ大学マノア校の敷地内にある美術館です。ホノルル市内から10分以内でアクセスできます。芸術家ジョン・チン・ヤング氏は、熱心なコレクターでもあり旅人でもありました。慈善活動の一環として芸術教育を促進するために建てられたこの美術館には、アジアや太平洋諸国、アフリカ、メソアメリカと幅広いアートが所蔵されています。

図書室やワークショップ開催もある複合施設になっているため、観る・読む・体験すると五感を通して芸術を楽しめます。

 

施設名

John Young Museum of Art

住所

2500 Dole Street Honolulu, Hawaii 96822

電話番号

808.956.7198

営業時間

12時〜16時

定休日

月・土曜日、祝日

ハワイ大学マノア校の休校日

 

ホノルル美術館でハワイの文化に触れよう

ハワイにいながらも世界中の美術品が堪能できるホノルル美術館は、ハワイ旅行するならぜひプランに入れたいおすすめの観光スポットです。テーマごとの展示や自然あふれる中庭でアートを楽しめば、日々の疲れも忘れ、インスピレーションがどんどん湧いてくるかもしれません。ハワイ旅行と言えばビーチやショッピングをイメージされる方も多いですが、歴史や文化に触れるアーティスティックな旅もまた良い思い出になるでしょう。