灼熱の大地、キラウエア火山へ。見どころと訪れる際の注意点まとめ
ハワイ島の1番の観光名所である、キラウエア火山。世界でもっともアクティブな火山といわれており、2023年現在もいつ噴火が起こってもおかしくない状況が続いています。 ここでは、地球のエネルギーを肌で感じられるキラウエア火山について、基本情報や見どころ、観光の際の注意点などをまとめました。ハワイ島への旅行を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
ハワイで唯一の世界遺産「キラウエア火山」
キラウエア火山の基本情報
キラウエア火山は、ハワイ島の南東部に位置する標高約1,250mの活火山です。同じく活火山である西隣のマウナロア火山とともにハワイ火山国立公園に指定されており、ハワイで唯一の世界遺産でもあります。
キラウエア火山は1980年の研究によると18,700立方kmとされており、これは富士山の400立方kmの約45倍の大きさに匹敵します。
1983年からの断続的な噴火でさらに大きくなっていることを考えると、今では富士山の50倍近くの大きさになっているかもしれませんね。
地球上でもっとも活動的な活火山
キラウエア火山は地球上でもっとも活動的な活火山であり、1983年から2023年現在までの約40年間で大小60回を超える断続的な噴火が起こっています。2018年5月から8月にかけては歴史的な大噴火が起き、プナ地区にある700棟以上の民家が破壊されました。ハワイ火山国立公園の山頂付近の数万回に及ぶ地震や、カルデラの大規模な崩壊によって地形も大きく変化しています。
とはいえ、キラウエア火山の噴火は非爆発性のため比較的穏やかで「世界一安全な火山」ともいわれています。火口から離れた場所では溶岩流が遅くなるため、溶岩流を近くで観察できることも人気の理由といえるでしょう。
キラウエア火山と生態系の関係
キラウエア火山は絶え間なく噴火を繰り返していることから、生態系にも大きな影響を与えています。
火山の噴火によって生まれた新しい土地には独自の生態系が形成され、キラウエア火山周辺でしか見られない動植物も存在していますよ。
中でも特徴的なのは、ハワイ固有種のシダ「アマウ」。
度重なる噴火によって荒れ果てた土地でも、葉の裏の胞子によって増えるシダは生命力が強く、過酷な環境でも生き延びることができるのです。
そのほか、赤い花を咲かせる「オヒアレフア」や、「アパパネ」「イイヴィ」などハワイ固有種の鳥も生息しています。
キラウエア火山にまつわる歴史
キラウエア火山の成り立ち
キラウエア火山があるハワイ島を含むハワイ諸島は、地下数kmにあるホットスポット(マグマ溜まり)から噴出した溶岩によってつくられた島々です。
その中でもハワイ島はもっとも新しい島であり、キラウエア火山はおよそ60万年〜30万年前に海底で溶岩が積もり始めたと考えられています。
陸上部で発見されたもっとも古い溶岩が約5万年〜7万年前に噴火したものであることがわかっているため、その頃に溶岩が海面から姿を現し、島になったのではともいわれています。
噴火の歴史
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キラウエア火山はハワイ式噴火といって、溶岩が沸々と流れ出るタイプの噴火が通常です。
爆発的な噴火ではないため、ものが飛び散ることもなく、比較的安全な噴火といわれています。
キラウエア火山は記録に残っているところでは1790年と1924年に噴火が確認されており、その後1983年以降は断続的に噴火が起こっています。
1983年から1986年の噴火では溶岩流により住宅被害が発生。
1990年には溶岩がハワイ島東部のカラパナ集落を飲み込み海まで到達し、2012年までに214件の建物が崩壊しました。
2018年5月には、閑静な住宅街レイラニ・エステートの地面の亀裂から噴火が始まり、その後8月にかけてカポホ湾を埋め尽くすほどの被害が発生。
日本でも大きなニュースとして取り上げられました。
先住民の伝承と神話
キラウエア火山のハレマウマウ火口に住んでいるといわれる女神ペレは、ハワイアンの自然に対する畏敬の念を象徴した女神さま。炎、稲妻、ダンス、暴力などを司る神とされ、気性が荒く、気に入らないことがあると人々を焼き尽くしてしまうなどの伝説を持っています。
女神ペレがなぜハワイ島にやってきたのかについては諸説ありますが、一説によると、姉であり海の女神であるナマカオカアイの夫を誘惑したことでナマカオカアイと仲が悪くなったことが原因のよう。
ペレはナマカオカアイに追われ、当時住んでいたカヒキを出てハワイ諸島を転々としながら逃げ続けましたが、ついに2人はマウイ島ハナで衝突。
ナマカオカアイが勝利をおさめ、ペレは亡くなりました。
その後ペレの魂は肉体を離れ、ハワイ島のキラウエア火山を終の棲家としたそうです。
キラウエア火山の見どころ
ダイナミックな火口
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キラウエア火山国立公園にあるハレマウマウ火口は、キラウエア火山を訪れたら絶対に外せない観光スポット。
水蒸気、溶岩湖、火映などを見ることができ、地球の息吹を間近で感じられます。
たびたびの噴火で絶えず姿を変えているため、訪れるたびに違った景色が見られることも楽しみの1つです。
溶岩ハイキング
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マウナウル火口から海に向かって流れ出た溶岩の上を歩けば、大自然の中に放り出されたような特別な感覚に浸れること間違いなし。でこぼこした溶岩の上を歩いたり寝そべったりと、溶岩跡地を満喫できますよ。
夜は星空観測の絶好のポイントになるため、ぜひセットで体験してみてはいかがでしょうか。
サーストン溶岩洞
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キラウエア国立公園では、約500年前に溶岩が流れた際にできた溶岩トンネル「サーストン・ラバ・チューブ」を歩けます。
サーストン・ラバ・チューブはパワースポットとしても有名で、幻想的な雰囲気が魅力的。キラウエア火山特有の景色であるシダの森と合わせて20分〜30分程度で歩けるため、子どもと一緒でも無理なく楽しめますよ。
スチームベント
スチームベントとは、大地に染み込んだ雨水がマグマに加熱された岩石によって水蒸気となり、地表に出てきたもの。
地表の割れ目からもくもくとした水蒸気を見ることができます。
スチームベントから歩いて行ける場所には、スチーミングブラフという水蒸気の出るカルデラの崖も。
こちらも壮大な火山の息吹を感じられるスポットとして有名です。
サルファー・バンクス
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ビジターセンターを出て最初の見どころであるサルファー・バンクスは、水蒸気と硫黄ガスが吹き出している強烈な硫黄の匂いのする場所。
ゴツゴツした岩についた、硫黄の結晶が注目ポイントです。火山ガスが身体に悪影響を及ぼす可能性があるため、小さい子どもや妊婦さん、持病のある方などは注意してくださいね。
4つの展望台
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キラウエア火山には、キラウエア・カルデラを眺望できるキラウエア展望台、キラウエア・イキ火口やマウナロアなどを見渡せるキラウエア・イキ展望台などがあります。
ケアラコモ展望台は崖の上に位置する展望台で、溶岩が流れた跡やどこまでも続く水平線を眺めることができます。
展望台はトイレ休憩ができるのも嬉しいポイントですね。
上空から大自然を眺めるヘリコプターツアーも
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歩くのが大変!という方は、空の上からキラウエア火山を堪能できるヘリコプターツアーがおすすめです。費用はかかりますが、1日で主要な観光スポットを巡れるため効率よく観光できる点がメリット。
現地のヘリコプター遊覧会社が開催しているツアーでは、フライト時間60分でキラウエア火山国立公園をはじめとした観光スポットを空中散歩できます。
60分コースの場合、2歳以上は一律$500ほどで参加できます。
小型機だからこそできる迫力ある観光を、家族やお友達とぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。
キラウエア火山へのアクセス
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バス
ハワイ島を走る公共バス・ヘレオンバスを利用すれば、片道$2でほとんどの街にアクセス可能です。
ただし、主に住民の通勤用として運行されているため、旅行者が利用するには少々不便な一面も。
ルートや運行スケジュールを確認しておくなど、事前準備をしっかりしておきましょう。
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タクシー・Uber
ヒロ空港やカイルア・コナ空港、宿泊しているホテルからタクシーを利用する方法もあります。
ハワイではアプリでタクシーが配車できるUberが主流のため、あらかじめアプリをダウンロードしておくと便利です。
ヒロ空港からの場合、キラウエア火山までの所要時間は約40分、費用は$85〜$90前後です。おすすめの記事はこちら
レンタカー
キラウエア火山へのアクセスで一番おすすめなのが、レンタカーの利用です。
ヒロ空港、カイルア・コナ空港どちらでもレンタルでき、ヒロ空港からは45分、カイルア・コナ空港からは約2時間30分でアクセスできます。
どちらの空港からも 11号線(ママラホア・ハイウェイ)をまっすぐ進むだけなので、初めてでも迷うことはないでしょう。
ハワイ国立公園内では、キラウエアビジターセンターをはじめ、各観光スポットに駐車が可能です。おすすめの記事はこちら
オプショナルツアー
現地に着いてからツアーに申し込めば、ホテルからの送迎や日本語によるガイド案内もしてくれるため、ハワイ初心者にも安心です。
他のお客さんと乗り合いのツアーがほとんどですが、手軽に参加できるのがメリット。
ピンポイントで行きたい場所がある場合は、チャータープランなども検討してみると良いでしょう。
いざキラウエア火山へ!
まずはハワイ火山国立公園へ
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まずは、キラウエア火山の入り口ともいえるハワイ火山国立公園に行きましょう。入り口にはゲートがあり、自動車なら7日間で約$30で入場できます。
入場は24時間OK。入り口はキラウエア火山側に位置しているため、キラウエア火山の観光スポットへはスムーズに移動できます。
キラウエアビジターセンターで情報収集
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ハワイ火山国立公園に入ってすぐの場所にあるのが、キラウエアビジターセンターです。
キラウエアビジターセンターではハイキング情報や噴火情報、火山活動や植物のパネル展示などが行われていますよ。
お土産の購入もできるため、観光前はもちろん、帰り道にもふらっと立ち寄りたいスポットです。
キラウエア火山を訪れる前に知っておくべきこと
おすすめの服装
キラウエア火山では日中の寒暖差の影響が大きいことから、調整しやすい服を着ていくことをおすすめします。
街中と比較すると標高の高い山は寒いため、夏でも防寒対策が必要です。
また、溶岩の上をハイキングするつもりで登山用などの動きやすいズボンや靴で出かけましょう。
持ち物
キラウエア火山には自動販売機がないため、飲みものは多めに用意しておきましょう。
また、突然の天候の変化に備えて雨具を用意したり、安全性を考えて手袋を用意したりするとなお良いです。
色々な観光名所を回るため、車酔いが心配な場合は酔い止めなども用意しておくと安心でしょう。
火山ガスに注意
火山では、二酸化硫黄などの有害ガスが発生していることがあります。
火山ガスを吸い込むと呼吸器系の炎症につながる恐れもあるため、特に小さい子どもや妊娠中の方、持病のある方は注意が必要です。
有害ガスは噴火直後に発生しやすいため、ビジターセンターなどで事前に情報を入手しておくと良いでしょう。
天候と噴火情報のチェック
キラウエア火山は活火山のためいつ噴火してもおかしくありません。事前に天候や噴火情報のチェックをしておきましょう。
観光中に噴火が起こった場合に備え、避難場所を確認しておくことも重要です。
火山噴火に関する最新情報はハワイ州観光局のHP(https://www.allhawaii.jp/htjnews/3009/)でも確認できるので、出発前にチェックしておいてくださいね。
溶岩は持ち帰り禁止
溶岩や砂は国の保有物のため、持ち帰ると窃盗とみなされてしまうことも。
キラウエア火山には女神ペレが住んでいることから、溶岩石を持ち帰るとペレに呪いをかけられるともいわれています。
お土産として持ち帰りたい気持ちを抑え、観察するだけにとどめておきましょう。
2023年現在のキラウエア火山の安全性について
2023年6月7日、キラウエア山頂カルデラのハレマウマウ火口内で噴火が確認されました。
この噴火は公共の安全を脅かすものではないとされ、6月19日現在では観光への影響はないとされています。
また、2023年6月19日現在の立ち入り禁止エリアは以下の通りです。
- ジャガーミュージアム
- クレーターリムドライブ
- クラナオクアイキより先のヒリナ・パリ・ロードの車両による通行(歩行者・自転車は可)
- キラウエアミリタリーキャンプより先のクレーターリムトレイル
- イリアヒトレイル
- ボルケーノハウスとキラウエアイキまでのクレーターリムトレイル
キラウエア火山周辺の観光スポット
キラウエア火山の周辺には、他にも訪れたい観光スポットがたくさんあります。キラウエア火山へ行くなら、ぜひ以下のポイントも併せてチェックしてみてくださいね。
プナルウ黒砂海岸
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名前の通り、黒い砂がめじるしの海岸。海水浴というよりも、お散歩やピクニック、アオウミガメを観察するのにぴったりのスポットです。
アオウミガメを見つけたら最低でも4.5mは距離を置くことがハワイ州の法律で定められているので、近づきすぎないよう注意してくださいね。
レインボー・フォールズ
photo by @konawind1123 / Instagram
ヒロから車で10分程度でアクセスできる滝。落差24mの比較的小さな滝ですが、雨季には滝つぼが激流となり、迫力満点な姿を見ることができます。
雨季の晴れた日の午前中には虹が見える確率が高まりますよ。駐車場が近くにあるため、アクセスのしやすさもおすすめポイントの1つです。
リリウオカラニ公園
photo by @hulaloomaikai / Instagram
リリウオカラニ公園は、ハワイ島のサトウキビ畑で働いた日本人移民への敬意を示し、1917年に開園しました。
灯籠や松、石庭、太鼓橋など和を象徴するものがたくさんあり、移民の歴史を知ることができます。
ジョギングやお散歩をするだけでも気持ちよく過ごせる、静かな公園です。
キラウエア火山で感じる自然の雄大さ
世界遺産にも指定されている世界でもっとも活発な活火山、キラウエア火山について紹介しました。
キラウエア火山は溶岩流を間近で見られる数少ない火山でもあり、大地のエネルギーを存分に感じられる究極のパワースポットでもあります。ハワイ島を訪れたら、ぜひレンタカーやツアーを利用して地球の息吹を感じてみてくださいね。