「アロハ」が持つ意味とは。ハワイアンから学ぶ思いやりの心
一番有名なハワイ語と言ったら「アロハ」ではないでしょうか。ハワイ旅行中「アロハ〜!」と写真を撮りたくなりますよね。でも一体「アロハ」とはどういう意味なんでしょう。挨拶に使われる言葉としてだけではなく、意味があり、その解釈も多岐に渡ります。その解釈の多さこそが「アロハ」の真髄と言えるのかもしれません。ここでは「アロハ」の言葉の深さやハワイの人たちの考え方をご紹介します。
「アロハ」が持つ意味
ハワイ語の辞書を見てみると、「アロハ」の意味は30以上もあります。一番親しみのある意味は「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」「いらっしゃいませ」「さようなら」などの挨拶。ハワイ旅行中、ホテルやお店でハワイの人たちから挨拶として「アロハ」と声をかけられることが多いと思います。その他で「アロハ」が表すものは愛情、思いやり、寛容、慈悲、敬意など、そして恋人や大切な人を表す時にも使われます。そうなってくると、感情のほとんどを「アロハ」で表せるのでは?とも思ってしまいますが、その多岐に渡る解釈こそが「アロハ」だと言えます。ハワイ王国8代目のリリウオカラニ女王は「アロハとは語られていないものを学び、見えないものを見て、わからないものを知ること」と表現しました。つまり、私たち一人一人が「アロハ」と口にする度に優しい気持ちや慈しむ気持ちを持つことこそが「アロハ」なのかもしれません。
「アロハ」の語源
「アロハ」という言葉はハワイ語の「alo」と「ha」が合わさった言葉です。「alo」とは顔や表面、面前、存在を意味し、「ha」は呼吸や息という意味があります。二つの意味を合わせると呼吸を共有する、息を合わせるという言葉になります。古代のポリネシアではお互いの額と鼻を合わせて、相手の存在や呼吸を感じる「ホニ」という挨拶がありました。お互いが出逢った喜びを表現し、エネルギーを交換し合う状態が「アロハ」という言葉になったとも言われています。この「ホニ」は深い敬愛を示す場合など、現在でもハワイで見かけることがあります。ハワイを舞台にしたドラマや映画で目にしたことがあるかもしれません。「アロハ」という言葉を分析していくと、とても深い意味があることがわかりますね。
「アロハスピリット」とは
なんとなく「アロハ」の深い意味がわかってきましたか?「アロハ」を体現する「アロハスピリット」という言葉がハワイにはあります。「アロハスピリット」とは、ハワイの州法で定められた概念であり、この考えに則って行動するように定義されています。一部を引用すると、「アロハスピリット」とは一人一人を本当の自分へと導く心と精神の調和です。他人へ思いやりを持って良い感情を伝えなければならない、とあります。州法と聞くと、守らなければ罰則があるのかと思ってしまいますが、そのようなことはなく、ハワイの人たちの哲学や心の在り方という感じです。ハワイの人たちの優しさは「アロハスピリット」の表れなのかもしれません。
「ALOHA」の頭文字に込められた意味
さらに「アロハ」を分析してみると、「ALOHA」の頭文字それぞれにも意味があることがわかります。これは州法の中にも記載されています。
【A】akahai(アカハイ): |
親切、思いやり…優しさを持って考える |
【L】lōkahi(ロカヒ): |
統一、調和…調和すること |
【O】ʻoluʻolu(オルオル): |
同意、心地よさ…感情と共に思考のバランスをとる |
【H】haʻahaʻa(ハアハア): |
謙虚、素直…謙虚である |
【A】ahonui(アホヌイ): |
忍耐強さ…自立を学ぶ忍耐強さを持つ |
「ALOHA」頭文字それぞれにこんなにも深い意味があります。相手を尊敬し、配慮や愛情を持って共に生きていこうという精神です。またこの頭文字の言葉を違う言葉で解釈している方もいるので、それぞれの心の中の「アロハ」があるのだと思います。
「アロハ」の使い方
色々な意味を知ると、とても奥深い「アロハ」という言葉は、普段から挨拶として頻繁に使う言葉でもあります。ショップの店員さんに挨拶をするときや、友達と会ったとき、気軽に誰でも使える言葉です。「アロハ」を伝えるときには、相手に直接言葉で伝えるだけでなく、笑顔や心からの気遣いを込めることが大切です。口にするだけでなく、メールの文頭でも使われることがよくあります。ハワイ旅行中はホテルやショップ、トロリーやバスで「アロハ」と声をかけられる方も多いはずです。そんな時はぜひ笑顔で「アロハ」と返してみましょう。
「アロハ」ポーズの意味
「アロハ」といえば、親指と小指を立てるサインが思い浮かぶのではないでしょうか。このサインは手の向きによって「シャカサイン」と「ハングルース」と呼ばれ、それぞれで意味が違うとされています。
「ハングルース」は、手の平を相手に見せるサインで、あいさつや感謝を伝える表現です。車の運転中に道を譲ると、運転手に向かって「ありがとう」を伝えるサインとして良く使われます。ハワイのバスは道を譲ると、バスの後部に「ハングルース」のサインを出してくれることもあります。
「シャカサイン」は、相手に手の甲を見せるサインです。相手を励ましたり、勇気づけたりする表現で用いられます。写真を撮るときにもよく使われるサインです。
この二つは違ったからといって何か言われることもなく、そこまで細かく気にしなくても大丈夫です。
1990年代前半、オアフ島のカフクのサトウキビ製糖所で働いていたハマナ・カリリという人が作業中に事故で人差し指、中指、薬指を無くしてしまいました。その後、サトウキビ列車で働いていた時に手をふって挨拶をしていたことが「シャカサイン」のルーツと言われています。
「アロハ」からハワイアンスピリットを学ぶ
ハワイの人たちの心がこめられている「アロハ」という言葉。意味を知れば知るほど奥深く、そして誰の心にも寄り添える言葉だと思います。解釈が多岐に渡ることも、他者を尊敬して受け入れる寛容なアロハの精神があるからこそ。ハワイ旅行中は挨拶として使える場面が多いはずなので、ぜひ笑顔で「アロハ!」と声に出してみてくださいね。