ハワイの地名に込められた意味・由来とは?島ごとに主要地を紹介
アメリカ合衆国の一部であるハワイ州の公用語は英語とハワイ語です。旅行でハワイを訪れた際によく見聞きするこれらの言葉ですが、このうちハワイ語に由来する名前を持っている代表的なもののひとつが地名です。この記事では旅行者に身近なハワイの地名の由来や、そこに込められた意味を島ごとにご紹介します。
「ハワイ (Hawaiʻi)」の意味は?
一般的に「ハワイ」と呼ばれるハワイ州ですが、英語以前にハワイで広く使われていた言葉では、語尾にiが2つ並んでいる表記の通り「ハヴァィッイ」が本来の発音です。このHawai‘iはさらに『Ha・wai・‘i』と3単語に分解でき、Haは呼吸や息、いのち、waiは水、‘iには魂という意味があります。この組み合わせをそのまま日本語に置き換えるのは難しいものの、どんな意味があるのかは現地を訪れた際にぜひ考えてみてください。
オアフ島の地名と由来・意味
地名 |
由来・意味 |
ホノルル (Honolulu) |
ハワイ語で「静かな入り江(Hono₋lulu)」 |
ワイキキ (Waikīkī) |
ハワイ語で「湧き出る水(Wai‐kīkī)」 |
カイルア (Kailua) |
ハワイ語で「2つの海(Kai₋lua)」 |
ハレイワ (Haleʻiwa) |
ハワイ語で「グンカンドリの家(hale₋ʻiwa)」 |
ラニカイ (Lanikai) |
ハワイ語で「天国のような海(Lani₋kai)」 |
ハナウマ (Hanauma) |
ハワイ語で「湾曲した砂浜の湾(Hana-uma)」 |
アラモアナ (Ala Moana) |
ハワイ語で「海・大洋の道(Ala₋Moana)」 |
ワイマナロ (Waimānalo) |
ハワイ語で「飲むのに適した水(Wai₋mā₋nalo)」 |
カイムキ (Kaimuki) |
ハワイ語で「ティリーフを蒸すかまどがある場所(Ka₋i₋muki)」 |
アイエア (Aiea) |
「ノソセストラム(ナス科の植物)」のハワイ語名(ʻAiea) |
アラワイ (Ala Wai) |
ハワイ語で「水の道・水路(Ala₋Wai)」 |
ホノルル (Honolulu)
由来・意味/ハワイ語で「静かな入り江(Hono₋lulu)」
ホノルルは、ハワイ州で最も人口が多いオアフ島の南部沿岸に広がる州最大の街であり州都です。多くの旅行客にとってのハワイの空の玄関口となる「ダニエル・K・イノウエ国際空港」があり、ハワイのシンボル・ダイヤモンドヘッドや数多くのホテルやショップ、飲食店などが軒を連ねる繁華街・ワイキキがあるのもホノルルです。
ホノルルの代表的な観光地
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ワイキキ
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ダイヤモンドヘッド
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アラモアナ
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ダウンタウン
ワイキキ (Waikīkī)
由来・意味/ハワイ語で「湧き出る水(Wai₋kīkī)」
ハワイ第一の繁華街であるワイキキはかつて、北部のコオラウ山脈に降った雨が地下を通って湧きだす広大な湿地帯でした。快適な気候からハワイの王族たちが代々住処を構えたエリアでもあります。やがて大規模なリゾート開発が始まれると運河が建設されて湧き水は海に排出されるようになり、ホテル群などの観光設備が次々建設されていきました。
ワイキキの代表的な観光地
・ワイキキ・ビーチ
・カラカウア通り
・デューク・カハナモク像
・カピオラニ公園
カイルア (Kailua)
由来・意味/ハワイ語で「2つの海(Kai₋lua)」
旅行客に人気のビーチタウン・カイルアは、別荘も多い高級住宅地です。名前の由来には諸説あるようですが、一説にカワイヌイ、カエレプレというふたつの湿地帯があったことからの命名だともいわれます。また地名とは直接関係ありませんが、カイルアには「カイルア・ビーチ」と「ラニカイ・ビーチ」という2ヶ所の美しいビーチもあります。
カイルアの代表的な観光地
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カイルア・ビーチ
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ラニカイ・ビーチ
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カイルア・タウン
ハレイワ (Haleʻiwa)
由来・意味/ハワイ語で「グンカンドリの家(hale₋ʻiwa)」
オアフ島・ノースショアの中心地となっている小さなサーファータウンです。名前の由来は、ハワイの人々に愛されているグンカンドリ(ʻiwa)が多く見られたためではなく、一説に、19世紀頃にこの地区に宣教師たちが建設した教会と学校の草ぶきの建物を土地の人々が「グンカンドリの家」と呼び、それが後に町の名前になったと言われています。
ハレイワの代表的な観光地
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ハレイワ・タウン
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ハレイワ・ビーチパーク
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アナフル・ブリッジ
ラニカイ (Lanikai)
由来・意味/ハワイ語で「天国のような海(Lani₋kai)」
既に紹介した、カイルア地区を代表する美しいビーチの名前です。この一帯を開発した業者がHeavenly Sea(天国のように美しい海)との命名を希望し、ハワイ語の正しい文法ではKai-lani(海‐天国)となるはずでしたが、順序を間違ってLani-kaiとしてしまったものがそのまま定着したようです。
ラニカイの代表的な観光地
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ラニカイ・ビーチ
ハナウマ (Hanauma)
由来・意味/ハワイ語で「湾曲した砂浜の湾(Hana₋uma)」
自然保護区に指定されたオアフ島東岸にある古い火口跡の美しい湾で、色とりどりの熱帯魚が泳ぐサンゴ礁があります。湾を意味する「hana」と、湾曲した砂浜を意味する「uma」を組み合わせた命名と考えるのが一般的ですが、「uma」には古代ハワイの神事・腕相撲や、カヌーが陸に接する部分という意味もあるそうです。
アラモアナ (Ala Moana)
photo by @aloha__kana / Instagram
由来・意味/ハワイ語で「海・大洋の道(Ala₋Moana)」
ワイキキの西側に広がるアラモアナは約30万㎡のビーチ公園「アラモアナ・ビーチパーク」、ハワイ最大のショッピングモール「アラモアナセンター」、高層コンドミニアム群が立ち並ぶ、ワイキキに次ぐ繁華なエリアです。地名の由来ははっきりしませんが、目の前に雄大な太平洋が広がるロケーションに繋がるようなネーミングです。
アラモアナの代表的な観光地
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アラモアナ・ビーチパーク
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マジックアイランド
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アラモアナセンター
ワイマナロ (Waimānalo)
由来・意味/ハワイ語で「飲むのに適した水(Wai₋mā₋nalo)」
美しい白砂の海岸が広がる「ワイマナロ・ビーチ」があるエリアですが、どちらかというとローカル色が強く、旅行客にはあまり知られていない地域かもしれません。古代ハワイアンたちは山に降った雨が湧きだす湿地帯や、川の流れに沿って集落を作り暮らしていたといわれますが、このワイマナロにも流れ出た湧き水から出来た小川があったそうです。
ワイマナロの代表的な観光地
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ワイマナロ・ビーチパーク
カイムキ (Kaimuki)
photo by @moco0505 / Instagram
由来・意味/ハワイ語で「ティリーフを蒸すかまどがある場所」(Ka₋imu₋ki)
ワイキキ北東側の高台にある、ホノルル屈指のグルメタウンです。「Ka」は英語のTheと同じで意味はなく、「imu」はハワイ式蒸しかまど、「Ki」は現地で伝統的に調理用具などに使われてきたティリーフという植物のこと。かつて妖精が作ったかまどがあり、やがて人々がそれで調理を始めたという伝説からの命名だそうです。
アイエア (Aiea)
photo by @nanitiki / Instagram
由来・意味/「ノソセストラム(ナス科の植物)」のハワイ語名(ʻAiea)
ダニエル・K・イノウエ国際空港の北側、アロハスタジアムやパールリッジセンターなどがあるホノルル西部のエリアです。アロハスタジアムといえば、2023年6月30日に路線が一部開通したハワイ初となる鉄道「スカイライン」のハラヴァ駅のすぐ近くにある大型球技場で、2023年現在、建て替え工事が進められている最中です。
アラワイ (Ala Wai)
photo by @aloha__kana / Instagram
由来・意味/ハワイ語で「水の道・水路(Ala₋Wai)」
「アラワイ」はワイキキの北側を東西に流れる、全長約3.2㎞の運河の名前です。1921年から建設が始まり3年後の1924年に一旦完成しますが、さらに1928年まで拡張工事が行われました。その名称は1925年の公募で複数の候補があがりましたが、最終的に当時のホノルル市長夫人による「Ala Wai」に決まりました。
ハワイ島の地名と由来・意味
地名 |
由来・意味 |
ヒロ (Hilo) |
ハワイ語で「撚りあわせる、編む」 |
カイルア コナ (Kailua Kona) |
ハワイ語で「風下の二つの海」(Kailua₋Kona) |
パホア (Pāhoa) |
ハワイ語で「短剣・ナイフ、先が尖った石」 |
ホノカア (Honokaa) |
ハワイ語で「転がる湾(Hono₋kaʻa)」 |
ヒロ (Hilo)
由来・意味/ハワイ語で「撚りあわせる、編む」
島の東側にある、ハワイ州で2番目に人口が多い町です。ハワイを統一したカメハメハ大王はかつて、この土地に暮らしていた友人を訪ねました。なかなか帰ってこない王を心配した家臣たちがティという植物でロープを編んで作ったカヌーで王を探しに行きました。それを聞いた大王が、この土地をヒロと命名したという逸話が残されています。
ヒロの代表的な観光地
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ダウンタウン
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アカカ滝州立公園
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ワイピオ渓谷展望台
カイルア コナ (Kailua Kona)
photo by @hawaii_kibun / Instagram
由来・意味/ハワイ語で「風下の二つの海」(Kailua₋Kona)
島西部の海に面し、島の空の玄関口・コナ国際空港もある、一大リゾートエリアです。晴れの日が多く、世界三大コーヒーのひとつ「コナコーヒー」の産地でもあります。島には1年を通して北東側から貿易風(トレードウィンド)が吹いており、カイルア・コナはその風下に当たりますが、これが名前の由来かはわかりません。
カイルア コナの代表的な観光地
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フリヘエ宮殿
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モクアイカウア教会
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カロコ・ホノコハウ国立歴史公園
パホア (Pāhoa)
由来・意味/ハワイ語で「短剣・ナイフ、先が尖った石」
島南東部のプナ地区にある町で、2015年の火山の噴火によって溶岩流に飲み込まれたことで注目を集めました。冷え固まった黒い溶岩が広がる地域と、果物や花、ナッツ類が栽培されている海から山に続く斜面の畑などが見られ、週末にはファーマーズマーケットが開かれます。パホアという町名は、この地域の平和と強さを象徴するといわれます。
ホノカア (Honokaa)
photo by @alohamiko / Instagram
由来・意味/ハワイ語で「転がる湾(Hono₋kaʻa)」
かつてサトウキビ産業で栄えた、島北部の日系人の町です。「ホノカア・ピープルズ・シアター」を始め、当時の面影を残す建物が数多く残る、ノスタルジックなローカルタウンで、目抜き通りの「ママネ・ストリート」ではタイムスリップ気分を味わえます。2009年公開の映画『ホノカア・ボーイ』の舞台となった町でもあります。
マウイ島の地名と由来・意味
地名 |
由来・意味 |
ラハイナ (Lāhainā) |
ハワイ語で「灼熱の太陽(残酷な太陽)」 |
カアナパリ(Kāʻanapali) |
ハワイ語で「カアナ岩の崖」(Kāʻana₋pali) |
カフルイ (Kahului) |
ハワイ語で「勝ち取る(勝利・成功)」 |
ラハイナ (Lāhainā)
photo by @welovekailua / Instagram
由来・意味/ハワイ語で「灼熱の太陽(残酷な太陽)」
ハワイ王朝時代にはカメハメハ大王が居を構え、一時はハワイ王国の首都として栄えました西部の町です。かつては多くのレストランやギャラリー、ショップなどが立ち並んでいましたが、2023年8月の火災でその大半が焼失してしまいました。「灼熱の太陽」という名前の通り、雨が少なくいつも気温が高い気候が特徴です。
ラハイナの代表的な観光地
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バニヤンツリー
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フロント・ストリート
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ラハイナ港のサンセット
カアナパリ(Kāʻanapali)
由来・意味/ハワイ語で「カアナ岩の崖」(Kāʻana₋pali)
白砂のビーチ沿いに近代的なホテル群が立ち並ぶ、西部の一大リゾート地で、ゴルフコースやレストラン、ショッピングセンターなどが揃っています。かつて一帯はマウイの首長たちの療養地で、通称「ブラック・ロック」と呼ばれている黒岩の崖は魂が霊界に旅立つ聖地とされていましたが、これとカアナパリの名前に関係があるかは不明です。
カアナパリの代表的な観光地
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カアナパリ・ビーチ
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ホエラーズ・ビレッジ
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ブラック・ロック
カフルイ (Kahului)
photo by @mauimanda04 / Instagram
由来・意味/ハワイ語で「勝ち取る(勝利・成功)」
マウイ島の空の玄関口・カフルイ空港がある、島北部の町です。19世紀後半からサトウキビ産業が盛んになると島内各地からサトウキビを運ぶ鉄道がこの町に集結し、サトウキビ農園の成功者たちが大勢この町に移り住んできたといわれています。3つの大型モールや大規模なスーパーがあり、その他は住宅地となっています。
カフルイの代表的な観光地
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カナハ・ビーチパーク
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アレキサンダー&ボールドウィン砂糖博物館
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クイーン・カアフマヌ。センター
ハワイの地名には意味が込められている
今回記事にした地名の意味と由来には、諸説ある中からひとつだけを紹介している場合があり、根拠が確かではないものも含まれています。とはいえ、訪ねた場所の地名の起源について考えてみることは、ハワイをより深く楽しむためのヒントになることでしょう。