先住民はどこから来た?古代ハワイの歴史と文化・伝統

先住民はどこから来た?古代ハワイの歴史と文化・伝統

公開日:2023.08.02
更新日:2023.10.09

ハワイは世界各地から移り住んできた「移民」にルーツを持つ人々が集まり暮らす、多民族社会です。またハワイには、そういった多様な人種がやってくる前からこの地に長く暮らしてきた「ネイティブハワイアン」と呼ばれる先住民の人々がいます。この記事では、そんなハワイ先住民達の歴史と伝統、文化についてご紹介します。

ハワイ先住民の歴史

最初の先住民はどこから来たのか

ハワイ 海

photo by unsplash

ハワイ先住民の起源には幾つか説がありますが、最も有力なのが、ポリネシア人をルーツとする考え方です。

現在サモアやトンガと呼ばれる地域に暮らしていた彼らは、タヒチ島の北東にある島々「マルケサス諸島」を分岐点に太平洋の他の島々へと移り住み、ハワイには紀元500~700年頃(日本の古墳時代後期~飛鳥時代頃)にカヌーで移動してきたようです。

なぜハワイに移住したのかにも諸説ありますが、理由のひとつは食糧を求めてのことだったといわれます。

彼らは星や月の位置、太陽の出入りの角度、風向きなどから方位を知り、遠い雲や空の色、飛んでくる鳥の種類や潮の流れなどで陸地の場所を推測し、何千キロもの海を超えての移動に活かしていたと考えられています。

ジェームズ・クックによるハワイ諸島の発見

ジェームズ・クック ハワイ発見

photo by @susie_honolulu_hawaii / Instagram

紀元1300年以降、ハワイと外界との交流は長く途絶えていたようです。

そんなハワイを初めて訪れた西欧人が、イギリスの探検家ジェームズ・クック船長の一団でした。彼らは3回目の太平洋探検航海の際に今のタヒチから北太平洋に北上し、1778年1月にハワイの島々を発見してハワイ島に上陸。土地の権力者・カラニオプ王と交流しました。

これを機にハワイには西欧人達が貿易船の補給地や越冬地として盛んに訪れるようになり、当時ハワイになかった刃物や釘などの鉄製品や銃や大砲などの武器をもたらして、その発展を促しました。

同時に、西欧人は様々な病気やアルコール飲料も持ち込んだため、それが先住民達の健康を蝕ぶことになった面もあります。

古代ハワイは階級社会だった

ハワイ 上空

photo by unsplash

西欧人達による発見以前のハワイの社会は厳しい階級制度によって成り立っていました。

アリイ・ヌイまたはモイと称する王を頂点に、その下にアリイと呼ばれる支配層がいて、それに続いて知識階級や神官に当たるカフナという人々がいました。

さらにその下には労働を強いられたカウアの人々を最下層としてマカアイナナと呼ばれる平民がおり、日本の江戸時代にも似たピラミッド状の社会が出来ていました。

またハワイの各島はモクと呼ばれ、大きな島はいくつかの地域(モク)に分かれ、それぞれをアリイ達が支配していました。

各モクはさらにアフププアという幾つかの共同生活エリアに分けられ、コノヒキと呼ばれる管理者の元で自給自足の暮らしが行われていました。

現代にも受け継がれている文化

ハワイ先住民達の様々な文化の中には、時代とともに形を多少変えながらも、後世へと大切に守り伝えられ、現代のハワイに生き残っているものが少なくありません。

観光化・商業化されたものも多くありますが、ハワイを旅行で訪れた際に目にできるもの、体感できるものの中から、代表例を幾つかご紹介しましょう。

フラ(フラ・カヒコ)

フラ(フラ・カヒコ)

photo by @tehaunuidance / Instagram

ハワイ特有のダンス「フラ」には、ウクレレやギターの演奏に合わせて踊られる優美なフラ「フラ・アウアナ(モダン・フラ)」と打楽器のリズムと祈りのような歌・チャント(詠唱)に乗って舞われるダイナミックな「フラ・カヒコ(古典フラ)」の2種類があります。

ハワイ先住民が古くから儀式や奉納のために踊っていたフラの源流を色濃く受け継ぐのが「フラ・カヒコ」で、その歌はハワイの自然や神々、古代の首長や王を讃えるものです。

オハナの精神

海 家族 サンセット

photo by unsplash

現在「オハナ(Ohana)」というと家族と訳されることが多くありますが、本来の意味は少し異なり、古代ハウイでは血縁で繋がる生活共同体、運命共同体のことを指しました。

かつてハワイの先住民達には同じ敷地内で一族が集まり暮らし、収穫物を分け合い、互いに助け合って暮らす習慣がありました。

現代ハワイでは核家族が増え、かつてのオハナのような生活はほぼ見られなくなりましたが、家族や親戚などを大切にする精神は今も息づいています。

工芸品

ハワイ 工芸品 ラウハラ編み

photo by @keikoinoue23 / Instagram

現代ハワイでお土産品として売られている工芸品には、先住民時代からの歴史あるものが少なくありません。

例えば、美しい光沢と木目のコアの木材は、古代ハワイでカヌーやパドル、家具、箱などを作るのに使われていましたが、今でも様々な工芸品や家具、ウクレレなどの材料になっています。

またハワイ固有のハラの木の細長い葉を編んで帽子やアクセサリーなどに仕立てる「ラウハラ編み」も起源が古く、古代の埋葬品の中からも発見されているほどです。

ハワイの歴史を学ぶなら「ポリネシアカルチャーセンター」へ!

ポリネシアカルチャーセンター

photo by @hiraoka.chikuwa / Instagram

ワイキキから車で約70分、ノース・ショアにある「ポリネシアカルチャーセンター」。

約17万㎡の広大な敷地には、ハワイのルーツであるポリネシアの6つの地域の古代集落の様子が再現され、建物の見学や伝統的なゲームや遊び、ウクレレやフラなどのカルチャー体験の他、料理や工芸品作りなどを見学できます。

また各集落を大型カヌーで回るツアーや、総勢100人ものキャストによるポリネシアの音楽とダンスショー、ビュッフェディナーなど、楽しみながら、古代の歴史と文化を体感的に学べる施設です。

ナイトショー、ディナー付きのパッケージは大人ひとり$139.95〜で公式サイトで予約可能。 ワイキキへの往復送迎サービス(ひとり$ 26)もあります。

店舗名

Polynesian Cultural Center

住所

55-370 Kamehameha Hwy, Laie, HI 96762 

電話

808-293-3333(英語)

営業時間

12:30〜21:00

定休日

日、水曜、11月の第4木曜、12月25日
※2023年7月15日~8月16日は水曜も営業

アクセス

カメハメハ・ハイウェイ沿い

今なお続く古代ハワイの文化

ここ数年のハワイでは「古来の伝統的な文化を大切にしよう」という風潮が高まっており、観光スポットやホテルなどでもそれを反映した様々なものに触れる機会が増えています。

ハワイの歴史や文化は、今のハワイを楽しむ上で重要なキーワードだといえるでしょう。